こんにちはー、ぐっちです。
11月19日(日)に開催された、京都芸術大学【秋の1日体験入学】芸術教養学科体験授業に参加しました!
かなり時間があいてしまいましたが、記録しておきます。
京都芸術大学【秋の1日体験入学】芸術教養学科 体験授業
担当教員
・下村泰史
・岩元宏輔
・三木京志
授業内容
芸術教養のまなざしと方法
芸術教養学科が何をするところか、なんだかよくわからない、という方も多いのではないでしょうか。この授業では、実際に芸術教養学科の授業でも使われているwebマガジン「アネモメトリ」の記事(#66~68「これからの図書空間」)をみんなで読みながら、芸術教養の「まなざし」と「方法」、特に「時間のデザイン」「空間のデザイン」「編集」「コミュニティ運営」について考えます。できれば事前に「アネモメトリ」の記事を読んでおいていただくと、いっそう理解が深まると思います。
参加レポート
芸術教養学科とは
- 人間の創造的な営み全般を「芸術」として捉え直す
- ファイン・アート(芸術)ではなく、リベラル・アーツ(教養)
- 教養は一般常識ではなく技である。実践的に考える
- 限界芸術論:「芸術と生活の境界に位置する広大な領域、専門的芸術家によるのでなく、非専門的芸術家によって作られ大衆によって享受される芸術、それが「限界芸術」である。」(引用:限界芸術論 (ちくま学芸文庫))
- アーツマネジメント学:芸術営と芸営学。それはアーツマネジメントを支える両輪。芸術を仕事にすること。芸術を社会に意味ある活動として伝えること。アーティストの社会的地位の確立と持続可能な活動。アーツマネジメントはそれだけでなくワークショップにアウトリーチ、資金調達と鑑賞者開拓、非営利事業のマーケティング戦略や芸術団運営手法。すべてアーツマネジメントという活動であり、その理論である。 (引用:アーツマネジメント学 芸術の営みを支える理論と実践的展開 (文化とまちづくり叢書))
- "Think different"(シンク・ディファレント):「発想をかえる」「ものの見方をかえる」スティーブ・ジョブズ
- 場・物のデザイン(ソーシャルデザイン、コミュニティデザイン)を、考え方によってよりよくする
- 作家、作品として語られないものに注目する。
- 暮らしの中に芸術を生かす方法:普段の仕事で生かす。企画やコミュニケーションクリエイティブ思考。街づくりや文化芸術の教育普及。
- 自分の精神的アイデンティティや芸術的にライフスタイルの基盤を作る人を育てる。人生を面白くする!
- 伝統文化とデザイン思考を同時に学修することで、「モノの見方、感じ方」を変え、暮らしのなかに芸術を取り入れるとともに、それを活かす方法、すなわちデザイン思考を身につけることをめざす
芸術教養学科の授業でも使われているwebマガジン「アネモメトリ」の記事(#66〜68 これからの図書空間)を岩元先生が読み解く
芸術教養の「まなざし」と「方法」、特に「時間のデザイン」「空間のデザイン」「編集」「コミュニティ運営」について着目しお話してくださいました。
「#67 宮崎・都城市立図書館」を各自熟読(約20分)
宮崎県にある都城市立図書館は2018年度グッドデザイン賞を受賞。
同賞には数多くの部門があり、そのなかの一般・公共向け取り組み部門での受賞。
1)モール跡地に移設された市立図書館
かつて商業の中心として賑わったショッピングモールだったが、郊外化がすすみ中心地が空洞化、衰退していった。
そこで、もともと市役所横にあった市立図書館をモール跡地に移設することになった。
モールの構造はそのままに、内装だけが図書館へとリデザインされた。
「商業施設の器に合わせて生まれた図書館であることは、この施設のアイデンティティであり、内容にも大きく影響を与えている。」
2)木片のインデックス
木製のラックにずらりと並ぶ木片には、背の部分にQRコードとキーワードが印刷されている。
スマホや備え付けのタブレットで読み取ることで、そのキーワードに関連付けられた書籍が分類を超えて表示される。
3)本ではなくニーズが先
利用者の多いキーワードは情報として管理され、利用者の要望を可視化することができる。
購入した本をいかに貸し出すか、ではなく、利用者のニーズを汲み取り本を購入する。
4)図書館から街づくり
簡易製本機を設置し、オリジナルの冊子制作に使う。
館長の井上さんは、もと宮崎県庁の職員として街づくりを行っていた。
図書館は本の貸し出しをする場所だけではなく、コミュニティスペースとしての役割も担っている。
5)図書館側、利用者側がともに成長していく
この図書館には基本的に禁止事項がない。
当初はスタッフからの反対もあったが、館長はルールではなくコミュニケーションを求めた。
「ダメだと言わないで、ダメな理由を説明してあげてください」
その結果、コミュニケーションが増え利用者のマナーも少しずつ向上した。
私の感想
モール跡地に図書館、という発想がまず面白いと思った。だからこそ、新しい利用者だけでなく、その地に思い入れのある人が再び集いコミュニケーションの場になっている。
インデックス検索もいい。図書館のことはよく知らなくて「日本十進分類法」で並べられてることも知らなかった。でも実体験として、これに関連する他の分類の本も読みたい!ところがなかなか見つけられない、ということは何度もあった。分類にとらわれず関連した本を一気に教えてもらえるのはありがたい。
ルールを作らない取り組みは本当に大変だろうな、と思う。
ルールを決めてしまえば、「なんでダメなの?」と聞かれたとき「ルールだから」で終わらすことができる。でも当然、「なぜ?どういう意図でそのルールは作られたの?」まで聞かないと納得できないし反発心が増すことにもなるかもしれない。(学校教育の中でもあるあるですよね・・・)
ルールがないということは、何かにぶつかるたびにお互い話し合って最適解を探っていく必要がある。そうすることでコミュニケーションは深まり、お互いが納得し気持ちよく過ごすことができる。
本当に時間がかかることだし、綺麗ごとばかりではないことも多いだろう。現場の方々の並々ならない努力と、協力する利用者さんの努力を感じる。
図書館って街の中に当たり前にあって、あまり存在について考えたことなかった。
でもあらためて思い返してみると、その時々の自分の状況にフィットしている。
子供の頃は親と近所の図書館に
学生時代は友達と近所の図書館に
子どもができてからは電車好きの息子と少し離れた図書館に
今は自分の勉強のために蔵書数や座席が多い大きい図書館に
私の生活に密着してた、図書館(笑)
今はインターネットでなんでも調べられるし、本も電子書籍で読むことができる。
図書館では思いもよらなかった本に出会えることもあるし、自分ではなかなか手が出せないような本を読むこともできる。
図書館ってやっぱいいよね、っていうのが私の感想でした。
アンケート記入&チャットでディスカッション
参加者のアンケートやチャットでの感想でいろいろな意見を聞くことができました。
木片のインデックス、ルールがないことについて言及している方が多かった印象。
図書館に詳しい人の意見もあって、自分では気づけない視点もあった。
これが、それぞれの「まなざし」で読み解くということか、と思った。
振り返り(Q&A)
学生時代、「作者の考えたことを答えなさい」っていう問題、まじで意味わかんなかったですよね?
知らんがな!って思う。
昔見た番組で、作者の人が実際に試験問題を解いて、「作者の考えを答えなさい」の問題間違えてたの面白かった。
「へー、そうなんだー。」っていうリアクションだった、作者の人も。
それで◯✕つくなんて不思議。それって問題作成者の考えですよね?
どう読み解くかは自由だし、読む人によって変わるし、同じ人が読んでも状況が違ったらまた違う感じ方になるし。
そういう問題なら、「作者の考え」ではなく、書かれていることについて「自分はどう感じたか」「なぜそう感じたか」のほうが大事だと思うし、正解不正解もない。
芸術教養学科での学びも、「作者の考え」を答えるのではなく「プロジェクトの良いところ・悪いところ」を考える。
ひとつの記事だけでわからなければ、他の文献も調べて比較検討し、自分の言葉でまとめる。そして◯✕ではなくフィードバックをもらう。
他の学生のレポートを見る機会もあるだろうし、他の人の「まなざし」を通して読むことで新しい発見ができ、新しい自分にも出会えそう。
まとめ
先生方の語り口調が穏やかで優しい気持ちになれる体験授業でした。
ひとつの記事をもとに考えを深める作業は慣れなくて難しかったけど面白かった。
「アネモメトリ」は京都芸術大学通信教育課程の 教材として制作されているだけあり、興味深い記事が多くて読み応えもあります。
このサイトを無料で公開してるなんてなんて太っ腹なんでしょう!
読みやすくて素敵な写真もたくさん載ってます。
ぜひ、あなたの「まなざし」で読んでみてください!
magazine.air-u.kyoto-art.ac.jp